当クリニックでは再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療、再生因子治療)も行っております。再生医療とは身体にもともと備わっている修復のメカニズムを応用して、けがや病気、老化などの原因により衰えたり失われたりした、身体の機能を再生させる医療です。
神田医新クリニックでは、医新会創始者の横山博美先生が2009年に脂肪由来間葉系幹細胞による再生医療を開始して以来、2024年末時点で1000例以上、幹細胞治療を臨床で実施してまいりました。
いつまでも若々しく、健康で元気に過ごしたい。
その願いをかなえる一助となるのが、再生医療です。
日本では、「再生医療=iPS細胞」のイメージをお持ちの方が多いかと存じます。
京都大学の山中伸弥教授が2007年にヒトiPS細胞の作成に成功し、再生医療のための細胞ソースとして一躍主役に躍り出ました。
iPS細胞以前には、受精卵由来のES細胞が、1981年に発表され、再生医療の研究が進められてきました。
どちらも人工的に作り出した多能性幹細胞であり、iPS細胞は腫瘍化という安全性の問題、ES細胞はそのまま育てば赤ちゃんになる受精卵を用いることによる生命倫理的問題から、実用化への技術的、倫理的な障壁が極めて高く、現在も慎重に臨床研究が進められています。
しかし、わたしたちの身体の中には、修復と維持をする機能を担うさまざまな細胞がもともと備わっています。
その一つに、「間葉系幹細胞」と呼ばれる、特別な細胞があります。
脂肪組織や骨髄の中に、ごくわずか含まれている間葉系幹細胞は、iPS細胞やES細胞と比較して低リスクに再生医療を行えることから、近年注目を集めています。
もともと間葉系幹細胞は、1960年代に骨髄組織の中から発見されました。
1999年に、間葉系幹細胞には筋肉や皮膚、軟骨などの色々な組織の細胞に分化することのできる性質(多分化能)があることが発表され、また間葉系幹細胞は細胞が傷ついたり数が減少すると、自ら細胞分裂して機能を修復する能力がわかってきて、骨髄由来の間葉系幹細胞を再生医療に応用する研究が世界中で行われるようになりました。
2001年には、この間葉系幹細胞が、脂肪組織の中にも存在していることが発表されました。骨髄を採取するには、骨に穴を開ける必要があり、身体への負担が大きいため、治療に大きなハードルがありました。脂肪組織は体の表面から少しメスを入れるだけで採取が可能で、また骨髄よりも大量に組織が採取しやすいメリットから、脂肪組織由来の間葉系幹細胞についても再生医療への応用が急速に進められるようになったのです。
間葉系幹細胞のみを選択的、効率的に増やす技術の研究開発が2000年代に飛躍的に進み、他の組織の細胞に分化する性質(多分化能)に加えて、容易に増やせる性質(増殖性)が向上したことにより、数g~20g程度の少量の脂肪組織からでも、治療に必要な量の幹細胞が得られるようになりました。
また、間葉系幹細胞が体内の炎症を起こしている部位に遊走し集積する性質(ホーミング効果)や、免疫拒絶反応を起こさない性質(非免疫原性)が判明し、大量に培養した幹細胞を点滴する治療法が生み出されました。
幹細胞には、「ホーミング効果」と呼ばれる能力があることが最近わかってきました。
「ホーミング効果」とは、傷ついた組織や治療を必要とする部位を自動的に見つけ出す効果のことで、静脈内から投与された幹細胞は、血液の流れに乗って傷ついた組織に自動的に集まり血管内皮に接着し、細胞に働きかけて治療を促し組織を修復します。
幹細胞の大きな役割の一つはこの「ホーミング効果」により病気やけがで失われた細胞組織を新しく補うことにあります。
2009年神田医新クリニックでは、当時の再生医療の厚生労働省指針「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に従い安全に細胞培養と治療を行えるよう、厚生労働省の許可のもと、院内にクリーンルームと幹細胞培養施設を設置。患者様ご自身の脂肪由来幹細胞を培養して点滴する再生医療の実用化に成功しました。
2014年の「再生医療等安全性確保法」施行後は、茨城県つくば市にPMDA認可の大規模な院外培養施設が開設され、関東信越厚生局より再生医療等提供計画(第二種再生医療 計画受理番号:PB3160007)の認可をいただき、脂肪由来間葉系幹細胞治療を継続しております。
当院は2019年10月より、シンガポールにおける最大の研究開発・科学技術開発振興機関であるA*STAR(シンガポール科学技術庁)の研究グループリーダー、杉井重紀博士と共に、「ヒト脂肪由来幹細胞の質を高める研究」をテーマに脂肪由来幹細胞の効果ならびに効率的な培養方法等について共同研究した結果、培養効率・幹細胞の活性化・酸化ストレスの数値の比較実験において従来の培養方法よりも明らかに優位性が示された「杉井式培養」を新たに導入し、これまで以上に安全かつ効果が期待できる幹細胞を提供できる体制にいたしました。
以前と比べて少ない脂肪採取量でも、従来通り充分な細胞数まで培養できるようになり、患者様のニーズに合わせた質の高い幹細胞投与を行なっています。
日本では現在、再生医療等提供計画が厚生労働省に受理された医療機関のみが再生医療を行うことができます。
幹細胞を用いない再生医療としては、PRP(多血小板血漿)による治療や、再生因子(幹細胞培養上清)による治療も、広義の再生医療に含まれることもあります。
PRPは、ご自身の血液から、修復に役立つ様々な成長因子を豊富に含む血小板を濃縮抽出したものです。法律上は再生医療等として定義され、再生医療等提供計画の提出の義務があります。
培養上清は、幹細胞の培養時に培養液中に放出される、様々なサイトカインや成長因子を抽出したものです。生きた細胞が含まれないことから、現在は法律上再生医療等にはあたらず、再生医療等提供計画の提出の必要がありません。しかし、「幹細胞治療」の名目で培養上清のみを用いた治療を提供する医療機関によるトラブルが生じていることから、今後の法改正により、PRPと同様に再生医療等提供計画の提出が義務付けられる可能性がございます。
神田医新クリニックでは、培養上清を用いた再生因子治療を実施しております。
当院の幹細胞治療で実際に患者様の間葉系幹細胞の培養を行っている、PMDA(医薬品医療機器総合機構)認可の院外培養施設で、安全性が高く濃度も安定した良質な培養上清(再生因子)を生成し治療に役立てています。
また当院では、AGA治療に対しても、A*STAR(シンガポール科学技術庁)との共同研究を行い、今後毛髪再生に特化した再生因子も生成し直接頭皮に投与する治療を行う予定です。
神田医新クリニックでは、2009年より再生医療を実施し様々な知見を得て参りました。
2016年以降は、男性、女性の更年期障害に対する治療として認可をいただき、加齢によって引き起こされる様々な身体の不調の改善に役立てております。
脂肪由来幹細胞による再生医療は、当院で認可された更年期障害に対する治療の他にも、日本国内では肺、肝臓、腎臓、消化器などの臓器の疾患や、脳梗塞、脳出血、脊髄損傷などの脳神経疾患、循環器疾患、皮膚疾患、糖尿病、変形性膝関節症など、様々な病気、症状の治療について、臨床研究が進んでいる他、細胞レベルでのアンチエイジングが期待できる事から、美容業界においても要注目の治療法になっています。
当院は引き続きA*STAR(シンガポール科学技術庁)研究グループリーダーの杉井重紀博士と共に脂肪由来幹細胞治療の質の向上を目指してさらなる共同研究を行い、得られた知見や技術を国際的にも広げられるように推進していく所存です。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
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午前 | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | 休 | 休 | ○ |
午後 | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | 休 | 休 | ○ |
診療時間:午前8:30~12:00、午後2:30~4:30
(木曜は午前10:00より一般外来開始)
※祝日は診療を行っております。(土日を除く)
※火曜午前は手術日の場合、休診とさせていただいておりますので、事前にお問い合わせください。
火曜午後は一般外来は行わず、自費診療と手術のみとなりますが、診療のお問い合わせは受け付けております。
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